2006年5月19日

道に立つ人


IMG_asagaonotane0001.JPG
いっこうに芽が出ない、ゴーヤー。

このまんま、永遠に芽が出ないんと違うか。プランターにはゴーヤーらしきものの姿も形もない。なんか違う草っぽい植物が芽生えたりすらしている。水だってあげてるのに、あたしゃ土を育てとるんか。雨が降りすぎて、土中で種が腐っとんのと違うか。
ただプランターが並んでいるだけの寒々しいベランダの光景に打ちひしがれて、確実に芽生えそうなアサガオの種もまいてみる。今度は種を水につけといたぞ。2日間つけたぞ。ふやふやになっとったぞ。

長屋のあったこの地に住み始めて2ヶ月。
当然のことながら、両隣のお宅も、もと長屋。向こう三軒は長屋だったのかよくわからないけれど、こちら側と同じく職人さんの家が並んでいる。
何が不思議って、この一角の住人さんたちが、なぜか夕方ごろになると、家の前に出てきて意味もなく立っていること。
いや何か意味はあるのかもしれない。道に面して並べた植木鉢の植物に水やりするとか、家の前の道路を掃除するとか、何か用はあるのかもしれない。でもやっぱりどう見てもただ立ってる。家の前にただじっと立ってる。そして、通りを見ている。誰か知り合いが通りかかると、立ち話をしている。とにかく、何かっていうと、家の前に出てきて立ってる。そして、高確率で、知り合いが通りかかる。他愛もない世間話が聞こえてくる。

夕方ごろには、だいたい家の前の通りにはなんとなく誰かがいる。ウチの子どもたちが出て行くと、「ぼうや、クルマが来ると危ないよ」なんて、誰かに構われている。

なんで、ただ家の前に立ってるのかなぁ。なにか、決まりごとのように、夕方になると家の前に出てくる。夕涼みという時期でもないけれど、なんでかなぁ。確かに、夕方になるといい風が吹くけれどね、夕日がきれいに通りを照らすけれどね。

でも、そういえば、そういう光景って、遠い記憶のどこかにあったような気がする。夕方になると表に出てきて、他愛ない世間話とかして。そういう習慣て、少し前の日本のどこにでもあったような気がする。でも、あまりに遠い記憶すぎて、かあちゃんには、その理由とかよくわからない。
夕方になると、お参りに行く。夕方になると、お線香をあげる。

「なんかまいたの?」。
早速、玄関先に置いた植木鉢を見て、お向かいさんが言う。
「ア、アサガオを...」。
「上まで伸びていきそうじゃない? ウチもさ、毎年あそこに植えてるのよ」。
そう、お向かいさんの家の壁には、緑色のネットが。

太郎鯉とかはためかせて、それでなくてもケッタイな家なのに、道行く人がいちいち家を見ていくのに、もしこれで緑のカーテンができちゃったら、一層ケッタイかと。


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コメント[4]

junさんこんにちは。
大変面白い発見ですね。昔、縁側はおじいさんおばあさんの居場所で、ひなたぼっこをしながら隣人が立ち話をしていく場所でした。縁側の下のタタキにムシロを敷いて幼な児はママゴト遊びに夢中、と横では放し飼いの鶏が地面にこぼれたモミをついばみ、それを今度は野良猫がうらめし顔で伺っています。軒に渡した竹さおには玉ねぎやら唐辛子やら吊るされていて・・・それがきっとごく普通に見られたこの国に生きる百姓家の原風景だったように思います。長屋の住人たちも農村風景と同じように町屋風景というものがあるならば、その名残ではないでしょうか。夏本番を迎え、夕涼みを兼ねた今風に言うところの情報交換、お付き合いを楽しんでいるのですね。ついでに縁台を置いて碁や将棋に興じてみたいものです。そういった最小単位の家と家の結びつきから始めて、ムラの連帯を生み、更には地域社会全体がひとつの共同体のような役目を果たしていたので、昨今ニュースであったような痛ましい事件も未然に防いでいたのではと考えます。

はじめてのコメントで長居をしました。
我が家でも連日の長雨で植えたスイセンの球根が全滅です!!

寅の子文庫さん、コメントをいただきありがとうございます!

ツボをついたコメントをいただいて、感涙です。

さすがに縁台を置いて将棋とまではいかないかと思いますけれど、昔はそういう光景もあったのではないかと想像するところはあります。おつきあいを楽しむというよりも、伝わってきた習慣になっているというか、当たり前のことになっているようです。

みなさんすぐ家の前に出てくるんですね。お店をされているお宅もあるので、なにかとお店を出たり入ったりだったり、職人さんが家の前で作業していたり。ウチの周辺の一角はご町内の社交場的な場所のようです。もっとも、そういう場所だと思ったので、子どもたちと住もうと思ったわけなんですけれど…。

でも、ご近所関係はけっこうドライというかサラッとしてるような気がしますね。一定の距離を置いて、干渉しないことは干渉しない、気づかいを特に大事にすると言いましょうか。ワンルームマンションのそれとは似て非なるものですね。

長雨は、ちょっとキツかったです。ゴーヤ発芽しないかも…(泣)。
どうぞ、またいらしてくださいね。
寅の子文庫さんのブログもじっくり読みたいと思っています。また行かせていただきますね。

職人のいる街なんていいいいじゃないですか!
アトム君にとっては、これから楽しみですね

しださん、ありがとうございます。

この家のある町を書けないのがちょっともどかしいくらいに、「えっ」というかんじの場所なんですよ。
いろいろなことが、子どもたちにとっては楽しみな場所ですね。この家の特徴は、とにかく立地につきますね。

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