2006年2月26日

水没する新築一戸建て


もともと、べつに、いま流行りの、建築家っていうのに頼んで家を建てようと、決めてたわけじゃなかった。

きのう、ネット上のあるところで、ある書き込みを目にした。
「あの家、浸水してた。まだ建ったばかりなのに。買った人が、水を汲み出してた。お気の毒」。
あ、それ、あそこに建ってるあの家だ、と、察しがついた。

東京でも23区以外に住んでいる人とか、日本の北の方とか九州だとかに住んでいる人とか、「えっ? そんな家に住むの?」と思うと思うけれど、東京の家はだいたい小さい。土地が20坪前後なんて普通にある。その土地に目いっぱい建てて売る。

土地の大きさには限りがあるんだから、間取りなんて、だいたい似通ってくる。
今の建築基準法は、半地下の部屋を建ぺい率、容積率に入れないでいいことになってる。 同じ面積の土地でも、半地下つくるとスペースかせげる。これで、ひと部屋余計につくれるわけ。
半地下に駐車場と、ひと部屋。もうこれは定番の間取り。
半地下にユニットバスとひと部屋っていうのもある。

ちょっとでもね、その半地下の部屋、人が暮らしたらいけない部屋ってことになってるんですけど。その部屋はね、納戸なの。その半地下の部屋、寝室だの子ども部屋だのにする部屋じゃ、ないわけ。
だけど、この半地下の部屋を、人が住んで暮らす部屋と数えて売っているところがある。たくさんある。おもいっきり堂々といっぱい売ってる。
半地下に3部屋、1階に1部屋とユニットバス、2階はリビングダイニング。そんなような間取りで、3LDKだの4LDKだの言って、売ってる。
それ、4LDKじゃない。

今の東京には、スコールが降る。
少し昔なら、川の氾濫だとかで浸水していた。
でも今は、水道管の容量をオーバーするほど、瞬間的に豪雨が降る。
東京のどの場所でも、水道管から水が溢れることで、浸水するかもしれない。
水道管を作った当時からすると想定外の雨が降る。
その、どの家か察しがついた浸水した建売住宅は、建つ街は古い街並みだけれど、周囲の家は浸水していなかった。
その家だけが水に沈んだ。
それは、その家が、建ったばかりのピカピカの、イマドキの、よくある建売住宅だったからだ。
玄関からして半地下。
目いっぱい建てました。
玄関に水が流れ込みました。

「半地下の部屋、子ども部屋にちょうどいい♪」
なんて喜んで、建売買って、雨が降ったら、子ども部屋(納戸)と子どもだけが、水に沈みました。
そんなことが、この先、なければいいなと、思う。

べつに、いま流行りの、建築家っていうのに頼んで家を建てようと、決めてたわけじゃなかった。
建売住宅でも、構わなかった。
でも、当たり前に住めるような家が、売ってなかったんだよ。


2006年2月23日

育つ家


IMG_uchiawase0001.JPGかあちゃんは、家の打ち合わせをしなくなった。

だって、これは、とうちゃんの家だ。
もう、全てを考えるのは、とうちゃん。

進学も就職もレールに乗って進んできたとうちゃん。かあちゃんがいたから東京で何の苦労もなくやってこられたとうちゃん。今までアパート借りるのも物件探すのも、鍋ひとつ買うのも服1着選ぶのも、何もかも全てかあちゃんに頼ってきたとうちゃん。
だけどね、もう、かあちゃんは、とうちゃんの母親ではいられないんだ。
だって、今はもう、かあちゃんには、小さな子どもがふたりいるんだもの。
とうちゃんにいつまでも大きな子どもでいられたら、子どもたちを育てていけないよ。

不動産屋から始まって、建築家さんやビルダーさん、解体屋さん、銀行、工務店の人々、役所、教育委員会、植物園、材木店、神社、風呂店…。たくさんの人に会いに行き、たくさんの人に交渉し、たくさんの人の話を聞いてきた。
それは、とうちゃんが、今までの人生で、してこなかったこと。
自分の足で歩き、自分の目で見て、自分の力で、相手の人ひとりひとりと話をして。

この家をつくるのは、とうちゃんだ。施主はとうちゃんだ。
かあちゃんが少し建築わかるから、かあちゃんが考えればいい?
それは違う。
失敗したっていい。下手でもいい。
大事なのは、とうちゃんが自分でつくることだ。

気がつかなかった?
子どもだけじゃなくて、とうちゃんが育つ家だったんだよ。

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土間に座っていると、小さな家の小さな部屋なのに、何故か、おごそかな気分になってくる。
不思議だなぁ…。構造あらわしのせいで、柱がたくさん並んでいるからかな。人間、縦の線に囲まれていると、厳正な気分になるのかもしれない、森林の中がそうであるように。

家の囲いが取れた。


2006年2月20日

本の整理とか


IMG_hon0001.JPG荷物を減らすために本を整理しなくちゃなぁ…。

古い情報誌はもういらないなぁ…。
昔の『るるぶ』とか『地球の歩き方』とかあってもしょうがないかなぁ。
温泉系の施設は、様変わりがスゴイしなぁ…。温泉本持っててもしょうがないかなぁ。
ラーメン屋も、どうせ行列ができるところには子連れじゃ並べないしなぁ…。ラーメン本あってもしょうがないかなぁ。
ていうか、インターネットがあれば、そのへんのはもう全部いらないなぁ。捨てちゃおうか。

もういらない本て、あるかなぁ…。
これはもう絶版だから取っておかないと…。
ていうか、絶版だらけだ。

とか見渡していると、絶対読んじゃうわけで。


2006年2月 9日

少年よ 大工を目指せ


IMG_daikusan0001_3.JPG息子よ、将来なるなら、建築家じゃなくて大工にならないか?

「この階段、図面どおりにつくるとこうなっちゃうので、こうしておきました」。
家をつくってもらっている、大工さんの添田さん。
この家は、この人なくしては、建っていません。

やっぱり、家を建てるのは、大工さんだよね。
設計する人は、どんなにがんばったって、所詮、自分じゃ家を建てられないよね。どんなに偉そうにセンセイ面したところで、自分ひとりじゃなんにもできないよね。
でも、大工さんは違う。自分ひとりでも家を建てられる。

駆け出しの建築家が階段の図面を引いて、年季の入った大工さんに「コレだからケンチクカのセンセイはなってねぇなぁ」とか言われたりするそうだ。
その家がどんな家なのか、階段を見るとわかるんじゃないかって、かあちゃんは思ったりする。

建売住宅をいくつか見た時、どれも「これはダメだ」と思ったのは、階段が大きな原因。
どの家も、部屋を少しでも広く取ろう、いろんなものを押し込もうとして、階段のスペースが押しやられて小さくなってる。そりゃそうだ、買う人っていうのは、何LDKなのか広さは何畳なのかばかり見ているんだから、階段なんて頭にありゃしない。
でも、今の東京の家は2階がリビングになっているから、階段を昇り降りする回数がものすごく多い。毎日、いったい何往復するんだろ? それなのに、つま先で昇らなければならないような階段、カカトだけで降りるような階段、1段降りるのに手すりにつかまらないと降りられないような段差の階段、1階と2階の間の階段がどれもそんなふうな家が、普通にいっぱい売ってる。
そんな階段から落ちて怪我したら、いったい家をつくった人って責任取るのかな。取らないんだろな。落ちた人の過失なんだろな。

そうなっちゃうっていうのは、やっぱり、大工さんが家をつくってないからなんだ。
大工さんが「この図面なってねぇな」とか言いながら、階段をつくってないからなんだ。
図面の上だけで考えている人が単純に数字だけ割って階段を書いてしまうからなんだ。そしてその図面通りに、作業する人が組み立てだけをしているからなんだ。
きっと、たぶん。

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この家は、若い人につくって欲しいと思ってた。添田さんは35才の大工さん。若くて、でも一所懸命で、つくることがきっと大好きなんだ。そんな大工さんがいなければ、絶対にここまで建っていない、この家。

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2006年2月 8日

だって部屋っぽい土間なんだもん


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面白おかしく書き始めた『育児な家』のカテゴリー。

育児世代の家づくりを一般の人向けに書くつもりが、見に来られたりコメントをくださる方々がギョーカイの真面目な方々が多くなって、面白おかしく書いていると、お叱りさえ受けてしまいそうなムードすら漂っていたり…。なぜにこうもプロの方が…。設計とかしてる方々って、モニタの前で日中ずっとひとりで座っていて、話し相手がいないんでしょうか。あっ。これも冗談なので真面目に怒らないでおやさい。じゃなくてください。

「土間が欲しい」。

最初の頃、家を設計してくれる人を探していたとき、そう言うと、「ナニ言ってんのこのヒト」という感じでスルーされてしまいました。もちろん出てきたプランは、どれも土間なんか入ってなくて。

でも、今つくっている家には土間があります。えぇもう土間にしてもらいましたよ。
ところが、土間っていうのが、それぞれ理解が違うわけで。

建築家さんの考えは、もともと1階の土間と外玄関がゾロで、土間は玄関の一部、だから土間は玄関。ホントに建築家という種類の人は、ゾロ好きです。ゾロってなんなんスかね。ナニ語なんスかね。なんか高さが揃ってるんだということを言いたいような気持ちはわかりますけどネ。もうできることなら1階すべてゾロってたいのが建築家という人たちの習性なんでしょう。
ところが、かあちゃんの土間は、玄関の一部じゃない。部屋。
土間って言って通じなければ、そこは作業場、工作室。土間は土間で、玄関じゃないんだもん。

子どもがモノづくりをしなくなったとかよく言うけれど、じゃあ家の中のどこで工作をすればいいのかな。ちょっと木を削るとか、凧揚げの凧つくるとか、鞄とか修理してみるとか、切ったり貼ったり塗ったりすることはいっぱいありそうなのに、そういうことする場所が今の普通の家の中にないんだよね。場所がないんじゃ作業しなくなるわけで。きっと昔は縁側とかあって、庭先でつくったんだろうけど、今はそういう場所って東京のほとんどの家にナイわけで。

縁側はつくれないのは仕方ないよね。そんな東京の環境でもないし。だからね、土間をつくって、そこでちょっと作業できたらいいじゃない。かあちゃんだって、もちっと時間があれば、フラワーアレンジメントのひとつもつくったりしたいわけ。土間だったらそんなこと、汚れたりするのを気にしないでできるじゃない。夏なんか涼しくて勉強部屋にもいいよね。
だからね、土間という部屋をつくりたいわけさ。玄関の一部じゃなくってさ。

おかしいかな? だって、土間って「間」って言うくらいだから 部屋 だよね? 「次の間」とか言うじゃない。
何かヘン? 土間っていう部屋ってヘン? ヘン?

というわけで、土間から2階への階段が伸びていく予定だったのを、土間から一段上がったところで階段が始まるようにしてもらいました。段差があったっていいでしょ。そこに腰かけたりできるし、昇りやすいし、ゾロってればいいってもんじゃない。これで土間はひとつの部屋っぽくなります。玄関じゃないので、土間は靴を脱いで入る部屋です。まぁべつに靴を履いて入ってもいいんだけれど、それでも部屋です。部屋なんです。

でも、土間をつくったのは、狭小住宅では正解だったような気もします。だって、家をつくるための作業スペースももともと小さいわけですから、もし土間がなければ、大工さんの作業の場所はもっと狭くなってしまっていたからです。
この土間は、家が出来上がる前から、もうすでに作業場として活用されちゃっているというわけで。
雨も降り込まないし、風が吹いても寒くないし、建材とか置いておけるし、イイ感じ。

設計を始める前は「土間???」というかんじの建築家さんばかりだったのに、なんだかこのごろ土間のある家ってハウスメーカーでつくりだしたり雑誌に書かれたりするようになってます。おぃおぃ、かあちゃん、そういうの見ないで孤独に土間のある家を考えたのになぁ…。日の当たらない存在だった土間がメジャーな存在になっちゃって、「土間」と言って冷たくあしらわれたりしたアタシは何だったんだろ…。ていうか、このブログを読んで「土間のある家、いただき!」とか思われてたりなんかして…見に来られる方々からすると、あながちそれって冗談とも言えなかったりなんかして…。だって設計とかしてる人って、モニタの前で日中ずっと…。

土間 - Wikipedia