水没する新築一戸建て
もともと、べつに、いま流行りの、建築家っていうのに頼んで家を建てようと、決めてたわけじゃなかった。
きのう、ネット上のあるところで、ある書き込みを目にした。
「あの家、浸水してた。まだ建ったばかりなのに。買った人が、水を汲み出してた。お気の毒」。
あ、それ、あそこに建ってるあの家だ、と、察しがついた。
東京でも23区以外に住んでいる人とか、日本の北の方とか九州だとかに住んでいる人とか、「えっ? そんな家に住むの?」と思うと思うけれど、東京の家はだいたい小さい。土地が20坪前後なんて普通にある。その土地に目いっぱい建てて売る。
土地の大きさには限りがあるんだから、間取りなんて、だいたい似通ってくる。
今の建築基準法は、半地下の部屋を建ぺい率、容積率に入れないでいいことになってる。 同じ面積の土地でも、半地下つくるとスペースかせげる。これで、ひと部屋余計につくれるわけ。
半地下に駐車場と、ひと部屋。もうこれは定番の間取り。
半地下にユニットバスとひと部屋っていうのもある。
ちょっとでもね、その半地下の部屋、人が暮らしたらいけない部屋ってことになってるんですけど。その部屋はね、納戸なの。その半地下の部屋、寝室だの子ども部屋だのにする部屋じゃ、ないわけ。
だけど、この半地下の部屋を、人が住んで暮らす部屋と数えて売っているところがある。たくさんある。おもいっきり堂々といっぱい売ってる。
半地下に3部屋、1階に1部屋とユニットバス、2階はリビングダイニング。そんなような間取りで、3LDKだの4LDKだの言って、売ってる。
それ、4LDKじゃない。
今の東京には、スコールが降る。
少し昔なら、川の氾濫だとかで浸水していた。
でも今は、水道管の容量をオーバーするほど、瞬間的に豪雨が降る。
東京のどの場所でも、水道管から水が溢れることで、浸水するかもしれない。
水道管を作った当時からすると想定外の雨が降る。
その、どの家か察しがついた浸水した建売住宅は、建つ街は古い街並みだけれど、周囲の家は浸水していなかった。
その家だけが水に沈んだ。
それは、その家が、建ったばかりのピカピカの、イマドキの、よくある建売住宅だったからだ。
玄関からして半地下。
目いっぱい建てました。
玄関に水が流れ込みました。
「半地下の部屋、子ども部屋にちょうどいい♪」
なんて喜んで、建売買って、雨が降ったら、子ども部屋(納戸)と子どもだけが、水に沈みました。
そんなことが、この先、なければいいなと、思う。
べつに、いま流行りの、建築家っていうのに頼んで家を建てようと、決めてたわけじゃなかった。
建売住宅でも、構わなかった。
でも、当たり前に住めるような家が、売ってなかったんだよ。


