2005年12月 3日

木の浴槽を求めて伊藤風呂店へ


「つくれますよ、ヒノキで」
「えぇぇぇ~! ホントですかぁ~!」

itofuroten01.jpg
きっと、木の浴槽って高いよね。この予算じゃ、小さな浴槽か、安めのサワラでつくるとかなんじゃないのかな。でもとにかく、お店を見るだけでもいいから、行ってみようよ、伊藤風呂店さんへ。

根津の町を歩いて、お店につきます。浴槽を設置するために出かけていてお忙しいご主人。会えそうにないと聞いていました。ところが、ちょうど仕事の合間の時間だったらしく、お店でお話することができます。ミカンやおまんじゅうをいただき、子どもたちとつまみつつ、木のお風呂の話。

シリコンで木をつないだ古代ヒノキの浴槽のボロボロな残骸。機械でつくった木のつなぎめがガクガクになっていて浴槽の役目を果たさなくなった木片。糊をつかって木をつないで浴槽をつくったために体を壊されて仕事をやめた同業のお風呂屋さんの話。「やっぱり、木の浴槽は、手でつくらなきゃダメよ。シリコンだとか糊だとか使ったらダメよ」。
カンナで手作業で木を削ると、木が光るという。釘もひとつひとつ手づくりされているそう。

itofuroten02.jpg木曽ヒノキと青森ヒバの特徴もいろいろとうかがいます。青森ヒバは使う木の質によっては割れてくることもあるのだそう。でもカビは生えにくいし木の香りは長く残る。ヒノキは反ったり割れたりする心配がなく、とくに木曽ヒノキはいろいろと問題がないのだそう。木曽ヒノキといっても人間が植えた木だと、また性質が違うのだそう。やっぱりお風呂はヒノキなのかなぁ。「通気がよければヒノキでもカビは生えません」。
とどまることのない、木の話。

話しこんでいると、いつのまにやら子どもたちが作業場の奥のお茶の間に上がりこんでいます。しかも、ウランの前にはお茶碗、手にはお箸が…。タマゴやハムをつついています。奥様が子どもたちの相手をしてくださって、なんとご飯までいただいちゃっているじゃーありませんか! なんだか嬉しそうにおとなしく座っている子どもたち。

「木の浴槽は、保温性がとても高いです。3日ぐらいは…」。えー! 3日も! いつまでもお湯が冷めないので、翌日でもそのまま入れるほどだそうです。お湯をちょっと継ぎ足せば3日ぐらいは入れるのだそうです。3日入ったら、朝お湯を抜いてワラかタワシで洗って乾かして、また夜お湯を入れればいいそうです。あ゛ぁ~ 設計の最初の頃、追い炊きできる木のお風呂なんか探したりしてたワタシって、いったい…。

多いとは言えない予算だと思っていたのですが、木曽ヒノキで、1200×700ぐらいの浴槽をつくっていただけることに。反りにくく乾きやすいサワラのふたがつき、桶などもオマケにつけていただいて、設置料も込みでつくっていただけるなんて…。ウソみたいだねぇ…。だって、木のお風呂だよ。毎日が温泉宿みたいだよ。ていうか、井戸水入れるから、ほんとに温泉かもしれないねぇ。東京の街中の家で、手づくりの! 木曽ヒノキの! お風呂に毎日入れるなんて…。

奥様が子どもたちの相手をしてくださって、お茶の間ですっかりくつろいでいる子どもたち。なにもかも自分の手でつくられるご主人の尽きることのない木の浴槽づくりのお話。
青森ヒバと木曽ヒノキとサワラの木の見本をいただいて、なぜか柿もひと袋いただいて、伊藤風呂店さんを後にします。

もしも、こんな家をつくろうと思わなければ、出会うはずのなかった、数多くの素晴らしい人々。


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コメント[10]

“ご飯までいただいちゃっている…”
なんて素敵なお店なんでしょう。そんな温かさと、仕事へこだわりがあるからこそ、今の時代にまでも立派に続いてこられたのでしょうね。
おとといのブログでは、まだ見当もついていないようでしたのに、なんて早く、しかもすばらしい方に出会われて。わくわくする気持ちが伝わってきて、私までなんだか心地よい気持ちになりました。

すごいですねー
いつもながらその目的にたどり着く執念と行動力にはビックリです。
その強い思いがあるからこそ素敵な出会いに繋がるのでしょう。
完成したら是非とも渡辺さんの番組や住宅雑誌で公開してくださいね。
お子さん達が木の風呂に浸かってるシーンなんかも良さそう。
楽しみにしてますね。

木の浴槽、見つけられたんですねぇ。よかった。
いまの時代でも、こだわりを持って、ものづくりしている方、結構、いらっしゃるのかもしれませんね。
どんどん、かたちになっていくお家、きっと、愛着のあるお家になっていくのでしょうね。
ワタシも、楽しみにしています。
それにしても、木の浴槽…究極の贅沢かも知れませんね。
本当に素敵!

ranrunrinさん、そうなんですそうなんです。

バブルの時代、ポリ浴槽やステンレス浴槽に押され、木の浴槽を誰も使わなくなったころ、まったく仕事がなく、同業の木のお風呂をつくる方がみなどんどん辞めていく中、それでも信念を持って耐えて、今まで続けて来られたのだそうです。
その苦しい時代のご主人の気持ちや奥様の支えに思いを馳せました。

今はまた時代が変わって、とてもお忙しくなられたそうです。若い人がまた木のお風呂を求めるようになったのだそうです。

お金もうけのためだけにものづくりをする人には、本当に人に喜ばれる価値あるものをつくることはできないですね。あらためて、そう思いました。

tanosi-ieさん、コメントをありがとうございます。

“渡辺さんの番組”って…『建もの探訪』ですかぁ!? そ、そんな滅相もございませんです。渡辺さんがにこやかに「うーんなるほど」と言ったまま、笑顔が凍りついてしまうかも…というのは冗談なのですが、あの番組は家の住人にスポットが当たるので、テレビに顔出しするのは自分で自分が耐えられないものが(笑)。

アンティーク・マムさん、ありがとうございます。

木の浴槽って、よく売ってはいるのですけれども、見せかけだけの木の浴槽もあるのだと、いろいろとお話をうかがって知りました。

そうですね。贅沢かもしれませんね。でも、ユニットバスを丸ごと入れるよりもコスト的には安くなっています。どこにお金をかけるか、何に価値をつけるかですよね。

木の風呂桶見つかってよかったですね!
今度写真で見せてください。
やっぱり、人の肌が触れるところは、職人の手仕事に勝る物はありませんね。

東京町家さん、ありがとうございます。

お風呂が予算内におさまったことが嬉しいのではなく、近所に自慢できるような木の浴槽を持てることが嬉しいのではなく、素晴らしい職人さんにお会いできたこと、その手仕事によるものに毎日肌で触れて過ごせることが、なによりも嬉しいです。

その木の浴槽を、このブログにUPできる日がいつか来るのでしょうか。今はまだ遠いことのように思えます。

こんな素敵な職人さんのお店が根津にあるのですね。すばらしい!しかも夢のヒノキ風呂!楽しそうで夢が膨らみます。

りぼんさん、コメントをありがとうございます。

そうですよね、やっぱり、ヒノキ風呂って夢ですよね。ほんとにつくっていただけるのか、いまだに嘘みたいに思えます。

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